この記事は 2026年9月13日(令和8年) に内容を見直しました。記載は更新時点の税法等に基づいています(免責事項)。
帳簿を経営者ご自身の手で作成しなければならないという法律上の義務はありません。
株式会社であれば会社法で正確な会計帳簿の作成が義務づけられていますし、個人事業主が青色申告の承認を受けるには一定の帳簿を備え付ける必要がありますが、これらは「帳簿を備え付ける義務」であって「経営者自身が入力する義務」ではないため、記帳代行に任せることもできます。
ただし、税務申告書の作成や税務相談は税理士だけに認められた独占業務のため、記帳代行業者に申告まで任せることはできません。
そのうえで福井会計事務所では、経営者ご自身が数字を把握できる体制づくりをおすすめしています。
法律上、帳簿の作成・保存は誰の義務?
まず前提として、帳簿の作成・保存は「事業者としての義務」であり、実際に誰が手を動かすかとは別の話です。
株式会社の場合(会社法)
会社法432条は「株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない」と定め、会計帳簿の閉鎖の時から10年間、会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならないとしています(会社法432条・e-Gov法令検索)。
個人事業(青色申告)の場合
個人事業主が青色申告の承認を受ける場合は、原則として複式簿記による記帳が必要です(現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳などの帳簿による簡易な記帳が認められる場合もあります)。帳簿・書類の保存期間は原則7年間で、請求書など一部の書類は5年間の保存でよいとされています(国税庁タックスアンサーNo.2070 青色申告制度)。
なお、青色申告特別控除の金額は記帳・申告の方法によって次の3区分に分かれます。
- 65万円控除:複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を期限内に提出し、かつ電子帳簿保存またはe-Tax(電子申告)による場合
- 55万円控除:複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を期限内に提出しているが、電子帳簿保存・e-Taxのいずれも行っていない場合
- 10万円控除:それ以外の簡易な記帳による青色申告の場合
白色申告の場合も帳簿の作成・保存が必要です。詳しくは白色申告でも帳簿の作成や保存は必要ですか?をご覧ください。
記帳代行に任せられる範囲・任せられない範囲
「記帳代行」という言葉があるとおり、帳簿への入力作業そのものは、経営者ご自身が行う必要はなく、税理士や記帳代行業者に依頼することができます。ただし、税理士法では次の3つの業務を「税理士業務」と定め、税理士・税理士法人でない者がこれらを行うことを禁止しています(税理士法2条・52条・e-Gov法令検索)。
- 税務代理(税務署等への申告・申請・不服申立てなどの代理・代行)
- 税務書類の作成(申告書・申請書など税務官公署に提出する書類の作成)
- 税務相談(税額計算などに関する相談への対応)
つまり、税理士資格を持たない記帳代行業者に入力作業だけを依頼することは可能ですが、その先の申告書の作成や税額についての相談は税理士でなければ行えません。記帳代行と税務相談・申告をセットで請け負っているように見える業者を利用する場合は、実際に税理士が関与しているかを確認することをおすすめします。
福井会計事務所の考え方
人それぞれ考え方はありますが、福井会計事務所は帳簿はご自分でつけるべきであると考えます。よく「数字が苦手な経営者の皆様、記帳代行します」「面倒な帳簿つけから解放されて、本業にいそしんで下さい」といった謳い文句を見ますが、果たしてそれでよいのでしょうか。経営者は数字が苦手だからといってそこから逃げてはいけませんし、面倒な帳簿つけだって経営者にとってはもはや本業の一部です。
数字は経営を語る上での共通言語ですから、福井会計事務所では経理体制の構築や数字の見方など、より根幹的な部分でサポートします。
当事務所の顧問契約ではクラウド会計の利用を前提に、日々の記帳はお客様と事務所とで分担しながら、経理体制そのものを一緒に整えていく形を取っています。
一般的には以上のとおりですが、事業の規模や仕訳数によって最適な体制は変わります。個別の状況については、ぜひ一度ご相談ください。
