この記事は 2026年9月13日(令和8年) に内容を見直しました。記載は更新時点の税法等に基づいています(免責事項)。
会社にすることには、個人事業と比べて大きく分けて①節税、②信用力、③経営の3つの面でメリットがあります。特に、社長の報酬に給与所得控除が使える点、赤字の繰越期間が個人(3年)より長い10年である点、出資額の範囲でしか責任を負わない有限責任が原則である点は、実務上の影響が大きいポイントです。
1.節税メリット
個人事業では事業主本人への給与という概念がなく、利益がそのまま事業所得になります。これに対し会社では、社長への役員報酬は給与所得として扱われ、収入金額から一定額を差し引ける「給与所得控除」が適用されます(国税庁タックスアンサーNo.1410 給与所得控除)。
このほか、次のようなメリットもあります。
- 家族従業員に対する給与支給の自由度が高い(個人事業の青色事業専従者給与より制約が少ない)
- 青色申告をしていれば、赤字(欠損金)を10年間繰り越せる(個人事業の場合は3年間)
- 役員退職金の準備などに生命保険を活用しやすい
- 減価償却費の計上の自由度が高い(個人事業は原則として法定の方法で強制償却)
青色申告法人の欠損金の繰越控除が10年間であることは、国税庁のタックスアンサーで確認できます(国税庁タックスアンサーNo.5762)。個人事業の場合の繰越期間(3年間)については、関連記事「個人事業のメリット・デメリットは?」もご参照ください。
2.信用メリット
- 取引先に対する信用度の向上(登記情報として第三者に公開されるため)
- 金融機関に対する信用度の向上
- 官公庁に対する信用度の向上(入札参加資格など)
3.経営メリット
- 信用度の向上による販路の拡大
- 会社の財産債務と社長の財産債務の区分が明瞭になる
- 事業承継の円滑化、事業継続の容易化
経営メリットの背景には、会社法上、株主(出資者)の責任が「その有する株式の引受価額を限度とする」有限責任である点があります(e-Gov法令検索 会社法第104条)。会社と社長が法律上別人格であることの詳しい説明は、関連記事「そもそも会社って何ですか?」で解説しています。
有限責任のもとでは、事業が立ち行かなくなった場合でも、出資者(株主)は原則として出資した金額以上の負担を負いません。個人事業や合名会社の無限責任社員のように、事業の負債について個人の財産で無制限に責任を負う立場とは大きく異なります。これが、金融機関からの資金調達や、後継者への事業承継を進めやすくする一因にもなっています。
一般的にはこうしたメリットがある一方で、社会保険の加入義務や事務処理負担の増加、赤字でも一定額の税金(均等割)が発生するといったデメリットもあります。どちらが有利かは事業規模や将来計画によって変わりますので、個別にご相談いただくことをお勧めします。
