多摩地域の創業融資は①日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(融資限度額7,200万円)、②東京都・信用保証協会・金融機関が組む東京都中小企業制度融資「創業」(同3,500万円)、③多摩市など各市の融資あっせん制度(多摩市「創業支援資金」は同2,000万円)の3つが柱です。
審査では自己資金の有無だけでなく、創業計画書に書く事業の実現可能性・経験・売上の根拠・返済計画の一貫性が見られます。
当事務所は認定経営革新等支援機関として、創業計画書の作成支援や金融機関との交渉をサポートします。
| 制度 | 融資・貸付限度額 | 返済期間(設備/運転) | 窓口・保証 |
|---|---|---|---|
| 公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」 | 7,200万円 | 20年以内/10年以内 | 日本政策金融公庫に直接申込み |
| 東京都中小企業制度融資「創業」 | 3,500万円 | 10年以内/7年以内 | 金融機関経由・東京信用保証協会の保証 |
| 多摩市「創業支援資金」 | 2,000万円 | 7年以内(据置12か月可) | 金融機関経由・東京信用保証協会の保証、多摩商工会議所の経営指導が申込条件 |
※ 2026年9月時点の各機関公式サイトで確認。制度は年度ごとに見直されるため、お申込み時は最新情報をご確認ください(金利は変動するため未記載)。
日本政策金融公庫の創業向け融資の概要
創業融資でまず検討したいのが、日本政策金融公庫(公庫)の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、設備資金・運転資金に使えます。
- 融資限度額:7,200万円
- 返済期間:設備資金20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金10年以内(うち据置期間5年以内)
- 担保・保証人:お客さまのご希望を伺いながらの相談制で、無担保・無保証人での利用も相談できます(経営者保証免除特例制度あり)
2024年3月末に「新創業融資制度」が廃止されてこの制度に統合され、自己資金額を一律に求める要件はなくなりました。ただし自己資金は審査上重要な要素で、公庫自身も「創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で2割程度」という調査結果を示しています。金額そのものより、計画的に準備してきた経緯を説明できることが大切です。
特別利率の対象となる方
基準利率のほか、次のような方は特別利率(優遇金利)の対象になります。具体的な金利は変動しますので、日本政策金融公庫のホームページで最新の利率をご確認ください。
- 女性の方、35歳未満または55歳以上の方
- 創業塾や創業セミナーなど(認定特定創業支援等事業)を受け、認定市区町村が発行する証明書を取得した方
- 「中小企業の会計に関する基本要領」等を適用し、認定経営革新等支援機関(税理士など)の指導・助言を受けている方
- 廃業歴があり創業に再挑戦する方、Uターン等で地方創業する方、技術・ノウハウに新規性がある方 など
多摩市を含む八王子市・町田市・日野市・稲城市は、公庫の八王子支店(国民生活事業)の管轄です。認定経営革新等支援機関の指導を受けて事業計画を作る「中小企業経営力強化資金」など利用できる制度は複数あるため、どれが使えるかの整理から当事務所がサポートします。
制度融資の仕組み(東京都・多摩市)
制度融資とは
「制度融資」は、自治体・信用保証協会・金融機関の三者が協調して行う融資の仕組みです。信用保証協会が利用者の信用を保証で補完し、金融機関がその保証にもとづいて融資を実行、自治体は信用保証料の補助や金融機関への融資原資の預託などで利用者の負担を軽くします。公庫の融資とは別枠で、両方に申し込むことも可能です。
東京都中小企業制度融資「創業」
都内に事業所(個人事業者は住所でも可)があり、東京信用保証協会の保証対象業種を営む方のうち、創業する具体的な計画がある個人、創業から5年未満の中小企業者、分社化から5年未満の会社のいずれかが対象です。
融資限度額3,500万円、返済期間は設備資金10年以内・運転資金7年以内(いずれも据置1年以内)。
区市町村の認定特定創業支援等事業(後述)の証明を受けた場合は、融資利率が0.4%優遇されます。
多摩市の創業支援資金
多摩市は、市内取扱金融機関と東京信用保証協会の協力を得て、市が金融機関に貸付をあっせんし、貸付利子と信用保証料を補助する「中小企業事業資金貸付けあっせん事業」を実施しています。このうち創業者向けの「創業支援資金」は、貸付限度額2,000万円、貸付期間7年以内(12か月の元金据置可)、貸付利率年1.9%(市の利子補給1.0%・本人負担0.9%)、信用保証料は全額補助です(2026年9月時点)。
対象は、多摩市内に居住し創業の具体的計画を持つ個人、または多摩市内に本店を置いて創業する法人・創業後1年未満の事業者。
申込みには多摩商工会議所での経営指導を受けたうえで同所に書類提出することが条件です(要予約)。
さらに多摩市は産業競争力強化法にもとづく「創業支援等事業計画」の認定を受けており、市の「志創業塾」(全6回)修了者は、法人設立時の登録免許税が半額になる、創業関連保証を事業開始6か月前から無担保・無保証人で利用できる、公庫や都制度融資の金利優遇を受けられる、といったメリットがあります。日野市・府中市・八王子市・稲城市など近隣市にも同様の制度がありますが、内容は市ごとに異なるため事業所所在地の市でご確認ください。
創業計画書の書き方
公庫・制度融資のどちらを利用する場合も「創業計画書」の提出が必須です。公庫の様式(国民生活事業用)は次の10項目で構成されています。
- 創業の動機
- 経営者の略歴等
- 取扱商品・サービス
- 従業員
- 取引先・取引関係等
- 関連企業
- お借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し(月平均)
- 自由記述欄
審査で特に見られるのは、次のような点です。
- 自己資金の出所:通帳の履歴などで、コツコツ貯めてきた経緯を説明できるか
- 経験:「2 経営者の略歴等」で、同業種での勤務経験や身につけた技能を具体的に示せるか
- 売上の根拠:「9 事業の見通し」の数字が、客観的な裏付け(単価・客数・取引先の見込みなど)にもとづいているか
- 返済計画:「8 必要な資金と調達方法」「7 お借入の状況」と、月々の返済額が無理のない範囲に収まっているか
公庫の様式は公庫の書式ダウンロードページから入手できます。仮に融資を受けない場合でも、頭の中の計画を一度文字にしてみることは起業準備として有効です。
申込みから入金までの流れ
公庫の創業予定者向けの手続きは、おおむね次の流れです。
- ご相談(電話・オンライン・支店窓口。事前予約制)
- お申込み(インターネット申込みは24時間365日受付。創業計画書など必要書類を提出)
- ご面談(資金の使いみちと事業計画のヒアリング。店舗・事業所の予定地を訪問することもあります)
- ご融資決定
- ご契約(電子契約サービスを利用)
- ご融資実行(入金)・ご返済開始
公庫の公式サイトに審査日数の目安の明示はありません。制度融資は信用保証協会の審査が加わる分さらに日数がかかります。開業日や資金が必要な時期から逆算し、余裕を持ったスケジュールで準備を始めることをお勧めします。期間の見込みは申込み先に直接ご確認ください。
よくある否決理由と対策
一般的には、次のような点が否決・減額の要因になりやすいとされています。
- 自己資金の裏付けが乏しい(通帳の動きが説明できない、直前の「見せ金」を疑われる等)→ 早い段階から通帳で管理し、貯めた経緯を残す
- 事業計画の数字に根拠がない(売上・客数・単価が希望的観測)→ 相場や競合の状況など客観的な材料で裏付ける
- 業界経験や準備が不足している→ 実務経験や研修等を「経営者の略歴等」に具体的に記載する
- 税金の滞納や個人信用情報の問題→ 申込み前に納税状況等を確認しておく
審査は事業内容や状況によって判断が変わります。何が課題になりそうか、早めに専門家へご相談ください。
当事務所のサポートと料金
福井会計事務所は中小企業庁の認定経営革新等支援機関です(2012年12月認定、ID 100213020901)。創業計画書の作成支援と、公庫・金融機関との交渉のサポートを行っています。ご希望があれば金融機関の担当者を交えた事前打ち合わせも可能です。
| 内容 | 料金(税込) |
|---|---|
| 創業計画書の作成支援 | 110,000円〜 |
| 起業支援パック(顧問契約。起業予定・1期目(最初の事業年度)、年間売上高等1,000万円未満の方向け) | 月額22,000円(決算料0円・合計264,000円/年) |
※ 創業計画書の作成支援の報酬は事業の内容・規模、融資額等により異なります。起業支援パックは1期目(最初の事業年度)限定の料金で、2期目以降は顧問契約料金表で改めてお見積りします。
よくある質問
自己資金はいくら必要ですか?
2024年3月末の制度改正で自己資金額の数値要件はなくなりました。ただし審査上重要な要素であることに変わりはなく、公庫の資料では創業資金総額に占める自己資金の割合は平均2割程度とされています。金額より、計画的に準備してきた経緯を説明できるかが重要です。
公庫と制度融資、どちらを使うべきですか?
一般的には、公庫は単独窓口で手続きが比較的シンプルです。制度融資は信用保証協会の審査が加わる分、自治体の利子・保証料補助で実質負担が軽くなることがあります。両方に申し込むことも可能で、事業内容に応じて組み合わせをご提案します。
創業計画書は自分で書けますか?
書けます。公庫の様式(10項目)に沿って、創業の動機・経験・取扱商品やサービス・資金計画・売上の見通しを整理して記入します。数字の根拠を客観的に示せると審査での説得力が増します。
多摩市在住でなくても多摩市の制度融資は使えますか?
多摩市の「創業支援資金」は、多摩市内に居住して創業する個人、または多摩市内に本店を置いて創業する法人が対象です。日野市・府中市・八王子市・稲城市など近隣市にも同様の制度がありますが内容は市ごとに異なるため、事業所を置く予定の市でご確認ください。
面談にはどんな準備が必要ですか?
創業計画書に加え、設備投資の見積書や通帳の写しなど、記載内容を裏付ける資料があると安心です。面談では資金の使いみちと事業計画のヒアリングが行われ、店舗・事業所の予定地を訪問されることもあります。
